幼少期にみて「あんまり面白くないな」と思った記憶があったのでスルーしていたのですが再視聴してみました。
普通に面白い。
けっこうネットでも低評価なのを見かけていたのであまり期待していなかったのですが。
ミューズたちの歌で掴みからバッチリでした(R&Bやソウルの歌い方が好きなもので)
絵柄も最初はカートゥーン色が強すぎるかな?と思いましたがすぐに慣れましたね。
特にメグ(メガラ)はとても魅力的。
ディズニーにはあまりいない気だるい感じで、悪女と言われてしまいそうな言動は新鮮でした。
その彼女がヘラクレスに惹かれていき、恋なんてしない、と歌いながらももうその顔は恋する乙女。最初の「ミステリアスなお姉さん」はどこへやら、とにかくかわいい!
コミカルなヴィランとして人気の高いハデスも納得。やってることはけっこうえげつないんですけど重たさは感じず、というか彼には何故か親しみやすさを感じるのであまり悪くみえないのかもしれません。
話を聞かない上司(ゼウス)に面倒な仕事を押し付けられていたりとか、周りの神に軽んじられていたりする姿が現代の日本人とか陰キャには通ずるものがあるのかも。
部下のペインとパニックもコテコテの「頼りにならない手下」といった感じ。デザインもかわいいです。
主人公のヘラクレス、みんなに避けられたり厄介者扱いされて悩む少年時代のデザインが一番すきですね。
いい子だしみんなに好かれたくて明るく振る舞っているのがわかって見ていてかわいそうでした。
成長し、町のヒーローになった後もそこまで天狗になっているようには見えなかったんですよね。力をひけらかして威張りくさったりしないし。
むしろフィルの方が地位や金に目が眩んでいるように見えました。
ただ「真のヒーロー」というものがわかっていない、というのはそのとおりでしたね。ヒーローではあったのですが…
ヘラクレスに悪印象を持たせずに、それでいて足りないものがあるときちんと表現できているのはさすがはディズニーと思いました。
最後はメグを救うために自らの命を投げうったことで「真のヒーロー」になったヘラクレス。
ずっと願っていた神の国に帰る権利を得たものの、メグと共に人間として生きることを選びます。
私はてっきりメグもヘラクレスのための自己犠牲が認められて二人で神の国で生きるのかと思ったのですが神の資格はそんなに安くはなかった。
まぁヘラクレスが神の国に行きたがっていたのは人間界では煙たがられてしまう孤独感からだったので、彼を受け入れてくれるメグがいれば孤独ではありませんからね。
予想外に面白かったので満足です。
だけど子供の自分が面白くないと思った理由もなんとなくわかりました。
主人公のヘラクレスが地味なんですよね。
彼は派手な魔法が使えるわけでもないし、彼のヒーローデビュー戦ともいえるヒドラとの戦いはどんよりとした色合い。
なんなら一番の見せ場は "ヒーローになる前" の彼が歌う「Go the Distance」です。ヒーローの話なのに。
ハデスやメグの魅力に主役が食われてしまってる感が否定できません。
彼が真のヒーローになるのは終盤で、それまでは「不完全なヒーロー」だから仕方ないんだけど。
そしてメグやフィルも今でこそ魅力的に思えますが、二人の「過去の思い出が忘れられず腐っている」というのは大人でなければ共感できないし、それがわからないと彼らが再度希望を得て変わっていく魅力も半減かな…と。
フィルなんかは見た目も相まってほぼ完全に中年のおじさんですからね。
ハデスもあの苦労人感は子供より大人に受けると思います。
ディズニーはノートルダムの鐘など大人向け作品を発信しましたが受けず、ヘラクレスは子供を意識したらしいですがこれでもまだ大人向けだと感じます。
子供の頃みて面白くなかったという人ももう一度みてみたら何か変わるかもしれません。